[皮膚科]
体の中で一番大きな臓器、それは皮膚です。皮膚は体の全てを包んでいるわけで、外界から様々な攻撃を受けます。一方で、体内の変化が、皮膚に現れることもあります。ですから、皮膚の表面的な治療だけでなく、体の中で何が起こっているかを考えながら治療をする必要があります。


皮膚が赤くなってかゆい...大抵、ステロイドの塗り薬が出されます。
でも、それだけでは治りにくいことも、あります。
2、3週間塗っても治らなければ、他の疾患を考えなくてはならないでしょう。
<湿疹のようで、普通の湿疹ではないもの>
尋常性乾癬
典型的なものは、赤く丸くなる皮疹で、かゆくてかくと皮膚がめくれ、その部分が腫れたり、さらに悪化したりします。
免疫の異常で、皮膚が過剰に形成されます。
なお、爪が変形する場合もあり、爪白癬と間違われることがよくあります。
皮膚の過剰な形成を抑える塗り薬や、免疫を抑える薬を使います。
また、重症の場合には生物学的製剤を用います。当院でも対応しております。
アトピー性皮膚炎
アレルギー体質、皮膚のバリア機能低下、ストレスなどが関係します。
ステロイドの外用が基本となりますが、保湿をきちんとして皮膚のバリアー機能を保つということが大切です。
日頃のストレスを軽減することも必要です。
重症の場合には、生物学的製剤という薬を使うこともあります。当院でも対応しております。
薬疹
薬の副作用で生じます。まずは、どの薬が原因かを調べ、それを中止する必要があります。
その他、免疫の異常で皮疹の出現する疾患
皮疹の生じる自己免疫疾患には、次のようなものがあります。
・SLE・皮膚筋炎・強皮症・シェーグレン症候群・天疱瘡・類天疱瘡

にきびはどうしてできるの?
ニキビは
①角質で毛穴がつまる(角栓)
②毛穴に脂肪がたまる(面包)
③たまった脂肪の部分が感染する
の3つの段階があり、これらが入り混じって存在します。
ですから、これらを同時に治療しなければなりません。
にきびの治療法は?
上で述べた3つの要因に対して、それぞれ対応する必要があります。
① ⇛ 角質を取り除く薬(保険適応)を塗ったり、ピーリングを行う。
② ⇛ 脂肪の分泌を正常にするために、ビタミンB2やB6を内服する。
③ ⇛ 抗生剤の外用薬を塗る。重症の場合は抗生剤の経口薬を内服する。
これに体質改善のため、漢方薬を処方することもあります。
それでも治りにくい場合は、光やレーザーを用います。ただし、健康保険は使えません。
★「背中のニキビ」というのは、多くの場合「マラセチア毛包炎」です。次項をご参照ください。
★ ニキビ跡の治療は保険適応外なので、美容皮膚科のところをご覧下さい。

皮膚は、外界と接する面積が大きいので、他の生命体からの攻撃も受けやすのです。
1.細菌による感染症
とびひ(伝染性膿痂疹)
皮膚のキズなどから細菌がは入り込んで発症。次の2種類があります。
1)水疱性膿痂疹 ・・・ 黄色ブドウ球菌によっておこり、水ぶくれになる。
2)痂皮性膿痂疹 ・・・ 溶連菌などによっておこり、かさぶたができる。
乳幼児や小学生い多くみられます。「とびひ」といわれるのは体の他の部分へ「飛び火」のように広がってゆくからです。
抗生剤の外用剤や内服剤を使います。
丹毒
傷などから皮膚の浅い部分(真皮)に溶連菌が感染して起こります。
顔などによく起こり、皮膚が硬くなって熱感や痛みを伴います。
外用薬では効果が無いので、内服や点滴で抗生剤を投与します。
蜂窩織炎(蜂巣炎)
皮下の深い部分に感染が起こり、赤く腫れて痛みます。
下腿に多く発症します。
外用薬では効果が無いので、内服や点滴で抗生剤を投与します。
NTM感染症(非結核性抗酸菌症)
今マスコミで話題となっているNTM感染症は肺だけでなく、皮膚にも起こります。
土壌や水中に存在する抗酸菌が、皮膚のバリア機能が低下した部分から入り込んで発症します。
しこりができたりただれたり、膿がたまったりします。
治療には、抗菌薬を組み合わせて半年~1年以上かかる場合もあります。
2.真菌(かび)による感染
脂漏性皮膚炎
髪の生え際や眉間、鼻のまわりで皮膚がポロポロするようなら、脂漏性皮膚炎の可能性があります。
カビの一種が関係しているので、ステロイドだけではだめで、抗菌剤が必要になります。
癜風
体や四肢に茶褐色や白っぽい色で、地図のような形となります。
マラセチア菌(かびの一種)でおこります。なので、湿疹だと思ってステロイドを塗ると悪化します。
治療は抗菌剤を塗布しますが、難治性の場合は経口の抗菌薬を服用します。
マラセチア毛包炎
背中のニキビと思っているのは、多くの場合これです。
ニキビ用の抗生剤を塗ると、かえって悪化することもあります。
治療は抗菌薬を塗りますが、炎症を抑えるためにステロイドを併用することもあります。
股白癬症
いわゆる「いんきんたむし」と言われるもので、股のところに白癬菌が感染し、真っ赤になって痒みを伴います。
治療は抗菌剤の外用を用います。
水虫
言わずと知れた足の白癬菌感染症です。抗菌剤を用いて治療します。気をつけることを上げるとすれば
足趾の間の水虫で炎症ひどくなったものは、最初に抗菌剤を塗るとよけいにただれたりします。最初の1~2週間程はステロイドで炎症を押さえ、それから抗菌剤を塗ってください。
水虫によく似て手足の皮がめくれるものに、「掌蹠膿疱症」と「汗疱」というものがあります。手足の皮がめくれる場合、自己判断で治療をせず、皮膚科を受診して下さい。
爪白癬
爪に白癬菌が入り込んで起こります。
治療は、外用薬がありますが、効果が弱い場合は経口抗菌薬を用いることもあります。
爪白癬とよく似たものに、爪カンジダ、尋常性乾癬がありますので、自己判断せずに、きちんとした診断を受けてから治療を開始して下さい。
3.ウイルスによる感染症
ウイルスによるものは、ヒトパピローマウイルス(HPV)とヘルペスウイルスによるものが主流を占めています。HPVには、様々な型がありますが、16型、18型などは子宮頸がんを引き起こすハイリスク型です。
いぼ
正式名を「尋常性疣贅(ゆうぜい)」と言います。皮膚から飛び出たできものを何でもかんでも「いぼ」と言われることが多いですが、尋常性疣贅が正真正銘のいぼです。
HPV2型などが手足だけでなく体の様々な部位に感染を引き起こします。感染部位を拡大して見ると、赤い斑点(血管)が見えることがあります。
抵抗力の無い子どもがよく感染し、「ヨクイニン」というハトムギのエキス剤で多くの場合治癒します。大人になってできた場合は、ヨクイニンはあまり効きません。
ヨクイニンが効かない場合は、液体窒素で治療することもありますが、何回も治療しないといけないのと案外痛いので、当院では炭酸ガスレーザーで1回で治療します。
治ってもウイルスは皮膚・皮下に潜んでいるので、再発することも多いのですが、ヨクイニンを服用することで、ある程度再発を抑えることができます。
ミルメシア
尋常性疣贅の亜型といわれることもあります。
HPV1型の感染によって手の平と足の裏にできます。噴火口のような形をしたものが多いです。
足の裏にできて深くまで入り込んだものは、体重をかけたら痛むので魚の目と間違えて治療されていることも多いのですが、悪化してしまいます。
治療は一般的には液体窒素を用いますが、深いものは数ヶ月かかることもあります。
そこで当院では、局所麻酔をして炭酸ガスレーザーで周囲の組織を蒸発させてから、ウイルスの塊を取り除き、1回の治療で完治することが可能です。
尖圭コンジローマ
HPV6型・11型による、性感染症です。
陰部にカリフラワーのいぼができます。
治療としては、液体窒素やレーザー治療も行われますが、イミキモドという塗り薬が保険適応として使えます。
帯状疱疹(帯状ヘルペス)
ヒトヘルペスウイルス3型によって、片側の神経に沿って感染します。神経に沿った痛みと、皮疹が出現します。
坐骨神経に沿って感染する場合など、皮疹がでずに痛みだけでる場合もあります。
治療は、発疹がでてから3日以内に抗ウイルス薬を服用します。
疼痛(ヘルペス後神経痛)に対しては、タリージェやリリカなど、神経痛に使う薬が効果的です。疼痛を抑えることに失敗すると、一生痛みが残ってしまうこともあります。
このウイルスは水痘を起こすウイルスと同一です。子どもの時に水痘にかかって体の中に潜んでいたウイルスが、抵抗力の落ちたときなどに活性化すると、ヘルペスになります。
50歳以上の人には、発症や重症化を防ぐためのワクチン接種が推奨されており、当院で実施しています。
単純ヘルペス
これは1型による口唇ヘルペスと、2型による性器ヘルペスがあります。
治療には抗ウイルス薬の内服、抗ウイルス薬の外用剤が用いられます。
突発性発疹
生後6ヶ月から2歳ぐらいまでに多くみられ、数日間続く高熱が下がった後に発疹がでます。
ヒトヘルペスウイルス6型、7型による感染症ですが、特効薬はなく、対症療法が行われます。
軟属腫
いわゆる「水いぼ」です。ポックスウイルスの感染によります。
4.虫による感染症
疥癬
ヒゼンダニが寄生して起こります。赤くポツポツとした小さな斑点状の発疹で、強いかゆみを伴います。
直接、あるいは衣服などを介して人にうつりやすいので注意が必要です。高齢者施設などで集団発生することもあります。
ダニを殺す薬を飲んで治療します。また、クロタミトンという塗り薬は、かゆみを抑えると同時に、ダニを麻痺させる効果があります。

皮膚腫瘍は、ダーモスコピー(このページの最初の写真)で観察し、良性か悪性かを見極めます。良性腫瘍の多くは顔にできるので、治療を希望される方が多く、当院では全て治療可能です。悪性、もしくは判断が難しいときは大学病院に紹介します。
1.良性腫瘍
脂漏性角化症
老人性イボとも呼ばれる、褐色~黒色の表面がざらざらした腫瘍。
皮膚付属器腫瘍
毛包、汗腺、脂腺などの皮膚付属器から発生する腫瘍
汗管腫
目のまわりにポツポツできる腫瘍。汗腺の深部が増殖してできる。
稗粒腫(はいりゅうしゅ)
目の周り、まぶたにできる1~2mmのブツブツ。
皮膚の表面に古い角質が袋状にるまったもの
2.悪性腫瘍
基底細胞がん
最も頻度が高い皮膚がんです。高齢者の顔面で発生頻度が高く、しみやほくろと間違えられやすいので、要注意です。
悪性度は低いというものの、放置すると深く広がってしまいます。
有棘細胞がん
基底細胞がんの次に発症数が多い皮膚がんです。
長年の日光の暴露が大きな要因ですが、昔の火傷あとや慢性的な炎症部位からも生じることがあります。
一見シミと区別がつきにくい「日光角化症」が悪化すると有棘細胞がんになります。
メラノーマ(悪性黒色腫)
最も有名な皮膚悪性腫瘍です。黒色とありますが、20年近く前に私が悪性腫瘍と判断して大学病院に送ったケースは黒色ではなくて乳白色でした。その方は今でも元気です。
星飛雄馬の恋人・日高美奈の死因とされ、昔は治療成績が悪かったのですが、最近は治療法が進み、生存率も高くなっています。
大切なことは、いかに早く発見して治療を開始するか、ということです。